核不法移転防止とは?

「核セキュリティ」とは、核テロを防止するための広範な活動を意味していますが、原子力施設等の防護を第一の防衛線とすれば、「核不法移転防止」はいわば第二の防衛線であり、施設外に不法に持ち出された核物質やその他の放射性物質に対する検知・対応活動のことを言います。経済のグローバル化に伴い、人や物資の国境を越えた移動が増加する今日、核不法移転防止は、核セキュリティ強化において重要視される分野の一つです。

IAEA の移転事案データベース( ITDB )によれば、1993年から2012年までの間に2,331件(2012年は160件)の核・放射性物質不法移転の事例が報告されていますが、旧ソ連・東欧圏は高濃縮ウランの不正取引が複数回に亘り摘発されていることもあり、核密輸のリスクが高い地域の一つと考えられています。

 

<国境における具体的な活動>

米国同時多発テロ以降、特に国境における放射線モニタリング強化に取り組む国が増えています。具体的には、国境検問所に貨物・人・車両用の放射線検知器を設置したり、放射線が検知された場合に国境管理職員が効果的に対応できるようトレーニングを行ったりしています。なお、これら国境管理職員は放射線の専門家ではない場合が多いので、操作しやすい検知器が求められており(近年は国境モニタリング専用の機器や技術も開発されています)、必要に応じてタイムリーに国内専門家の支援を仰げるような連携体制の構築も重要になっています。

 

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様々な国境における検知活動