G8 グローバル・パートナーシップ

<大量破壊兵器の脅威>

2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロは、テロリストが目的達成のためには手段を選ばないことを示しました。9.11を契機に大量破壊兵器(核・化学・生物兵器)を用いたテロが現実に起こりうる脅威として強く認識されるようになり、その対策が喫緊の課題となりました。

 
<G8グローバル・パートナーシップ>

このような国際的機運の高まりを受けて、2002年6月に開催されたカナナスキス・サミット(カナダ)において、主要国首脳会議(G8)は、「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」(G8GP)を立ち上げました。これを受けてG8諸国は、旧ソ連諸国の中でも大量破壊兵器拡散のリスクが高いと目されるロシアを重点的に支援することとし、化学兵器の廃棄、退役原子力潜水艦(退役原潜)の解体、核分裂性物質の処分、兵器開発科学者の再雇用を優先分野とすることを決定しました。

G8諸国は、G8GPの活動のため2012年までの10年間に200億ドルを上限に資金調達を行うことを目標に掲げ、日本も2億ドルの資金協力を表明しました。

G8サミット

2011年5月、ドーヴィル・サミット(仏)において、G8GP発足以来の活動がレビューされ、ロシアの退役原潜解体事業等の具体的な成果が高く評価されました。同時にG8は、G8GPが果たす役割の重要性及び解決すべき課題がなお山積していることから、今後ともメンバーの拡大に努めつつ、活動を継続していくことを決定しました。

2014年以降、G8はロシアが抜けてG7となり、G8GPはthe Global Partnership Against the Spread of Weapons and Materials of Mass Destruction (2021年1月時点のパートナーは最大30ヵ国及びEU)と改称されました。

 
<G8GPにおける日本の主な協力>

日本は、核軍縮・不拡散及び日本海の環境保全の観点から、ロシア極東地域に係留されたまま腐食が進んでいた退役原潜の解体に協力しました。具体的には、2003年から2009年にかけて、他の支援国とも協力しつつ計6隻の退役原潜を解体しました。また、解体後にも高い放射能が残る原潜の原子炉区画を安全に保管するために必要な設備(浮きドック、クレーン、タグボート)の供与も行いました。一方、ウクライナ、カザフスタン及びベラルーシに対しては、各国の原子力施設のセキュリティ強化、国境における核不法移転防止のための協力を実施しました。(協力の詳細については各国の国別ページをご参照下さい。)