平成22年7月13日
日・ベラルーシ核不拡散協力委員会技術事務局
- 平成22年(2010年)7月2日(金)、ベラルーシ共和国首都ミンスクのベラルーシ国境警備委員会本部にて、「ベラルーシ共和国国境における核・放射性物質不法移転防止システムの近代化(Modernization of the System to Deter the Illicit Trafficking of Nuclear and Radioactive Materials at State Borders of the Republic of Belarus)」プロジェクトに対する9千万円を限度とする資金供与に係る実施取決め等の署名式が行われました。
署名式においては、松崎潔在ベラルーシ日本国臨時代理大使(日・ベラルーシ核不拡散協力委員会日本国政府代表)、ゲラシモヴィチ外務省国際安全保障・軍備管理局長(同ベラルーシ政府代表)及びラチコフスキー国境警備委員長(プロジェクト実施機関代表)との間でプロジェクトの実施枠組みに関する取決めが署名され、続いて佐々木肇日・ベラルーシ核不拡散協力委員会技術事務局長とラチコフスキー国境警備委員長との間でプロジェクト実施に関する資金供与契約の署名が行われました。
なお、署名式の模様は地元のテレビ局や通信社によって広く報道されました。 - ベラルーシ共和国は欧州東部の内陸国であり、EU諸国とロシアとの間の交易上の接点という地理的環境の関係もあり、近年、同国を経由する車両や貨物の中に通常より高い測定値の放射線が検知されるケースが増加しています。
他方、国境検問所には放射線に関する専門知識を有する職員は配置されていない上に、分析のための機材も配備されていないため、高い測定値の放射線の核種特定や危険度判定のためには首都ミンスクから専門職員を派遣せざるを得ない状況にあります。
また、ベラルーシ共和国は1986年のチェルノブイリ原発事故によって国土の約23%が放射線で汚染され、その影響は今日まで続いています。放射能汚染による立入り制限地域はウクライナとの国境地帯に集中していますが、同地域からの汚染物の持ち出しも跡を絶たず、国境パトロールにおける放射線検知及び取締能力の強化も喫緊の課題となっています。 - 本プロジェクトは、上記2.のような状況を踏まえ、国境検問所での迅速な分析や対応決定等を目的とする移動ラボ(分析車両)計4台の供与、同移動ラボに対して遠隔地からの専門家の助言を可能にする放射線位置情報システムの導入、国境パトロールのための携帯型放射線検知器の供与、専門職員養成のための機材供与等を行うものです。
本プロジェクトは、IAEA 及びEUの協力と相俟って、ベラルーシ共和国国境の核・放射性物質不法移転の脅威に対抗する強固なメカニズムの構築、同国の核物質及び放射線源のセキュリティの一層の強化に寄与することが期待されます。
実施取決めの署名 | 資金供与契約の署名 |