保障措置関連支援・医療機材供与 (1994~1999年)

1. 保障措置関連支援(1994年9月~1998年10月)

日本は、IAEAの支援国調整プランに基づき、カザフスタンの保障措置制度の確立及び核物質防護システムの整備のために、以下の協力を行いました。

(1) 高速増殖炉 「BN350」 に対するフローモニターの供与

カスピ海に近い都市アクタウに設置されている高速増殖炉「BN350 炉」に対して、原子炉からの使用済核燃料取り出しを監視するフローモニター設備を供与しました。

(2) 高速増殖炉 「BN350」 に対する計量管理システム機材の供与

BN350炉の計量管理用プログラム及びパソコン、LAN用機材等を供与しました。

(3) 高速増殖炉 「BN350」 に対する核物質防護システムの供与

BN350炉の敷地への出入管理システム(回転式アームゲート、金属探知器、X線検査装置、テレビモニタリングシステム等)、BN350 炉建物内部への出入管理システム(遠隔操作扉、暗号照合扉、開閉検出装置、テレビモニタリングシステム等)、放射線測定機材等を供与しました。

(4) カザフスタン原子力委員会に対する核物質防護システムの供与

アルマティにあるカザフスタン原子力委員会に対し建物への出入管理システム(カードリーダー、電気錠等)及び監視システム(ドアセンサー、パッシブセンサー等)を供与しました。

(5) 核物理研究所に対する核物質防護システムの供与

アルマティ近郊のアラタウ村に設置されている国立核センター (National Nuclear Center) 付属核物理研究所に対し、出入管理システム(カードリーダー、回転アームゲート等)、監視システム、赤外線装置等を供与しました。

(6) カザフスタン原子力委員会に対する測定機材の供与

IAEAの査察の際、使用される非破壊測定装置を供与しました。

2. 医療機材供与(1995年12月~1999年8月)

(1) 国立核センター核物理研究所

セミパラチンスク核実験場及びその周辺地域の被曝状況を調査するために人の歯のエナメル質を用いて放射能被曝線量を計測できる最新のESR(Electron Spin Resonance)を含む以下の機材を供与しました。ESR 測定装置及び14 インチモニター、2重 X バンド共鳴機材、デジタル温度管理装置、サンプル回転角測定器、磁束密度計、データー取得用PC, 高感度空洞共振器(保温器付)、事務機器等

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    ESR / 国立核センター入口

(2) 大祖国戦争病院

旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の汚染除去作業従事者及びセミパラチンスク実験場周辺地域における被曝者の治療のために、全身用CTスキャナ、X線診断システム、ガンマカメラ、運動負荷試験装置、ドップラ診断装置、脳波計、自動臨床化学分析システム、眼科診療ユニット、耳鼻咽喉科診断ユニット、抗生物質に対する細菌感受性システム、上部消化管・十二指腸・大腸・気管支ファイバースコープ、膀胱・直腸鏡、移動式内視鏡、人工呼吸器等を供与しました。
同病院は、大祖国戦争(独ソ戦争)で負傷した軍人の治療とリハビリテーションを行うために1943 年に設立されましたが、現在は主として、核実験による被曝者の診断、治療を行っています。

(3) セミパラチンスク医科大学付属病院

セミパラチンスク核実験場のある東カザフスタン州において医療教育の中心的存在のセミパラチンスク医科大学と国際的な被曝者医療支援プロジェクトを推進している長崎大学医学部を衛星通信で結び医療サポートを行う遠隔医療診断支援システムの構築を支援しました。
超音波診断装置、生物顕微鏡、インマルサット(衛星無線機)、アンテナ設置台、P110 カラーモニター、カラー医用制止画像記録装置、テレビ電話等を供与しました。

(4) 放射線医学環境研究所

セミパラチンスク実験場周辺地域の被曝者の診断のために、長年にわたり周辺住民の健康調査を行っているセミパラチンスク放射線医学環境研究所に次のような研究用医療機材を供与しました。倒立顕微鏡、染色体観察用リンパ球培養CO2装置、血液分離遠心装置、自動血球分析装置、滅菌用オートクレーブ、メディカルフリーザー